すすむ
「チュール」とは、多角形の網目をもつレース地の一種の事を言います。特にウェディングのベールやドレスなどに使われる「亀甲目(きっこうめ)」と言われる六角形の網目で構成されているネットが一般的。横に引っ張ると矩形になります。 「チュール・ネット」とも言われ、和名では「亀甲紗(きっこうしゃ)」と言います。
ウエディングドレスやベール,帽子などの服飾品やカーテンなどに使用されています。使用されているのは主に「ラッセルチュール」。 今まではウェディングなどの限られたシーンでしか使われていませんでしたが、数年前に流行したチュールスカートを機に、一般的にも知られる素材となりました。
薄手のやわらかい「ソフトチュール」と厚手で硬くハリの「ハードチュール」があります。 「ソフトチュール」は繊細で高級感があるため飾り布として、「ハードチュール」は重ねると布を支える力があるため、パニエなどのボリュームアップの材料としてよく使われます。
「チュール」は本来、絹製品ですが、現在では綿、アセテート、ナイロンやポリエステルなどでも生産されています。最近は特にナイロン製のチュールが多く作られています。 現在は無地のチュールだけでなく、ラメが入ったチュールやプリントが施されたチュールなど、多種多様なチュールが流通しています。
「チュール(Tulle)」という名前は、フランス中南部にある都市の名前からつけられました。本来の「チュール」は糸を撚り合わせたものをからめて作る「撚りレース」の一種。 漁網のように糸を結んで作るネットの「結節網(けっせつあみ)」に対し、糸を結ばず撚りながらからめて作るネットを「撚成網(ねんせいあみ)」と言います。 もともとチュールは手織りのボビン・レースの一種で、手で糸をからめて作るため、とても手間のかかるものでした。 1808年、「ジョン・ヘスコート(John Heathcoat)」によりボビネット機が開発されてからは「ボビネット」がチュールの代名詞となります。19世紀には産業革命に伴いリバー・レース機など複雑なレースの機械化が進み、機械編みのネットを総称して「チュール」と呼ぶようになりました。 ヨーロッパを中心にレースは一世を風靡したのですが、レース作りは熟練の技術を要し、手間のかかる仕事であるため、現在はごく少量のみ生産されています。現在は合成繊維を使用し、経編みのラッセル編み機で編む「ラッセルチュール」が主流となっています。
経編みの代表的な編み目組織で、六角の編み目は「チュール目」と呼ばれています。地糸1セット(1枚)で編まれたものは「1枚チュール」、地糸2セットのものは「2枚チュール」といい、セット枚数が多くなるほど、生地としての安定性が高くなります。 チュールには製法の違いから、「ラッセルチュール」と「ボビネット」の2種類があります。 「ラッセルチュール」は、ラッセル編機で製作されたチュールで、経糸を絡ませて編みあげる製法。編地であるため、柔軟性に富んでいるが、型崩れしやすいといった特徴もある。「ボビネット」はボビネット織機で製作されたチュールで、レース糸を組んで織りあげたチュール。織物であるため、生地に張りがあり高級感のある風合いで型崩れしにくいのが特徴。
「チュール」の始まりは手作業だが、現在は機械化され、一般的に流通しているチュールは「ラッセルチュール」。全世界で大量生産されています。 19世紀に発明された手法である「ボビネット」は、ボビンネット織機自体が希少であること、とても手間がかかることから、現在はフランス北部の町Calais(カレー)や、イギリスのノッティンガム地方などで少量のみ生産されてます。
化学繊維などのフィラメント糸に用いられる糸の太さを表す単位。 「恒長式」という「一定の長さに対する重さ」を基準にした太さの測定値が使われます。数字が大きくなるほどに糸が太くなり、1デニールは長さが9,000mで重さ1gの糸の太さです。