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「サテン」とは、織り物の三原組織の1つ「朱子(繻子)織り」、または「朱子組織」の事を指します。朱子織りで織った織り物の総称を「サテン」と呼びます。 また、綿のサテンは「綿朱子」とも呼ばれ、綿朱子の高級なものは「綿ベネシャン」と呼ばれます。英語では、「sateen」と表記されます。 一般的には「サテン=生地の名前」のように思われがちですが、「サテン」自体は織り方の種類の事を指しています。
光沢があり、綺麗なドレープが出しやすい為、パーティーで使われるドレスやネクタイ、和装の帯などのフォーマルなアイテムに使われます。 また、手触りが滑らかで、他の生地との摩擦や引っ掛かりも少ない為、コートなどの裏地やジャケットの袖裏、傘用の生地などにも使われています。 綿サテンに関しては、男性用のシャツなどにも使われており、糸が綿で織られている為、用途も幅広く使うことができます。
「サテン」は通常の平織りなどよりも糸が長く渡っている織物なので、経朱子の場合は緯糸、緯朱子の場合は経糸が生地の表に表れにくい織物です。 そのため、「サテン」は光沢があり高級感のある生地となります。 手触りが滑らかで、ツルツルとした触り心地が特徴です。 「サテン」は平織りで織られた織物などと比べると、糸同士が絡み合う部分が少ない為、摩擦や引張、引裂などの織物に対する負荷に弱く、シワや傷がつくと目立ちやすいという特徴もあります。
本来「サテン」は絹で織られたものを指しますが、現在はコットンやシルクなどの天然繊維、またはナイロンやポリエステルなどの合成繊維で織られたサテンが多く流通しています。 「サテン」には多くの種類があり、厚地でしっかりした風合いの「ベビー・サテン」、光沢が強くやや厚地の「パン・サテン」、裏面の光沢が強く織られている「バック・サテン」などがあります。 柄も無地、プリント、チェック、ストライプなどバリエーションが豊富です。
「サテン」は元々、中国で製織された絹織物が発祥で、中国からアラビアを経由してイタリアに渡り「ゼティン」と言われていました。「ゼティン」は19世紀のヨーロッパで人気となり、その後流通の過程で「サテン」になっていったとされています。 昔は朱子織りの事を「八糸緞(しゅす)」と表記していたそうです。 「サテン」の名前の由来は、中国の地名・町、港(現在の泉州港)などいくつかの説があります。 日本には1500年代後半に中国やオランダから渡来し,京都から全国に広まっていったとされています。
「サテン生地」は朱子織りという織り方で織られ、経糸または緯糸を長く浮かせた織り方で織られています。 1完全組織の中で経糸・緯糸共に5本以上が入っており、交差する場所が上下左右とも隣接しないように、規則的に隙間をあけた織り方です。 朱子織りの中にも経糸を長く通す縦朱子、緯糸を長く通す緯朱子があります。 その他にも両面朱子、生朱子、朱子羽二重など様々な種類があります。 朱子織りの中では経糸・緯糸5本ずつで織られる「5枚朱子」、経糸・緯糸8本ずつで織られる「8枚朱子」、かつ経朱子で織られたものが一般的です。
「サテン」はあまり普段着用の素材としては向いていません。 一般的には「サテン」は高級素材として扱われます。 「サテン」はドレープ性と光沢感が特徴なので、ドレスやネクタイなどのフォーマルなアイテムによく使用されます。
織物を作っている経糸と緯糸が、決められた規則に沿って、交差している状態を織物の「組織」と言います。それを図で表したものを「組織図」と言います。
組織の中で上下左右に同じ組織の繰り返しがある場合、その最小単位を1完全組織(1単位組織または1リピートとも呼ばれる。)と言います。