アムンゼン生地とは
アムンゼン生地の概要
「アムンゼン」とは、梨の皮のような細かい凹凸感を出した梨地織りの一種で、組織が「変わり綾(綾織りの一種)」になっているもののことを言います。梨地編みも「アムンゼン」と言います。
アムンゼン生地の用途
表面のしぼが肌への張りつきを防ぎ、さらっとした手触りが清涼感を感じさせることから、晩春~夏~初秋に使用するアイテムに使う素材としてぴったりです。
エレガントな印象の素材なので、結婚式などで着用するワンピースや柔らかいスーツ・ジャケットなどフォーマルなもの使用されています。また、よさこいの衣装や法被などにもおすすめです。
アムンゼン生地の特徴
アムンゼン生地の特徴
梨の皮のような不規則な細かい凹凸感のあるざらざらした表面で,表裏同じ組織に見えるのが特徴です。しかし、そこまでゴツゴツしているわけではなく、近くで見て分かる程度の凹凸感ではあります。
光沢はありませんが、密に織られている為、しやかな風合いです。生地にドレープ感があり、高級感のある素材です。
アムンゼン生地の素材
もとは梳毛糸を使った薄手の毛織物でしたが,綿、混紡、化学繊維の製品も作られるようになりました。厚手のものは少なく、薄手の軽めの生地が多いです。
アムンゼン生地の変遷
アムンゼン生地の歴史
「アムンゼン」と聞くと、海外で作られた生地かと思いきや、日本独自の織物の呼称です。毛織物は一般的に捺染(なっせん)が難しく、無地が多いのですが、昭和初期に愛知県尾州(びしゅう)で、捺染(なっせん)ができないとされていた毛織物を、捺染することが可能である事が発見され、開発に至ったのが始まり。
「アムンゼン」という名称は、1911年ノルウェーの探検家「アムンゼン」が南極探検に成功したことが話題となり、「アムンゼン」にちなんで名づけられたものだそうです。アムンゼンは元々ウールの変わり綾の梨地織物の事を指していたのですが、現在はシボのある変わり綾の梨地生地の総称になっているようです。
アムンゼン生地の組織
「アムンゼン」は、経糸と緯糸の浮かせる長さと場所を不規則かつ複雑に交差させ、布面に梨の皮のようなざらざらした細かいしぼを作り、独特の質感を表現した生地。強撚糸を使わず、普通の糸を使用して、織り方によってしぼを作っています。
梨地編みの「アムンゼン」は平編みにタック編みを不規則に配置し、凹凸模様を表す方法。または、パール編みを用いた「リンクス・アンド・リンクス」で、表目と裏目を不規則に組み合わせて細かく凹凸効果を出す手法に分かれます。
アムンゼン生地の位置づけ
上品でエレガントな印象のある生地なので、幅広い世代のアイテムに使用されています。
フジカケのアムンゼン生地
おすすめのアムンゼン生地
【無地アムンゼン生地】
- 10000アムンゼン
ポリエステル100%のスタンダードなアムンゼン生地です。
- FJ2677メロンアムンゼン
ポリエステル100%、梨地のアムンゼン生地です。
注釈
捺染(なせん・なっせん)
一般的に言うプリントのこと。特に生地を染料や顔料で染め、模様を表すことを言います。捺染は部分染めで、糊を媒体として染料の定着を行う方法です。捺染と対照に水に浸して染める方法を「浸染」と言います。
リンクス・アンド・リンクス
両頭針を用いた「両頭編み機(リンクス・アンド・リンクス機)で編んだ編物の総称。平編みの横の列が1列おきに表面と裏面で作られている編み方です。縦横に伸縮性が高いのが特徴。靴下の編み方に使われます。
梳毛糸
羊毛の長い繊維を梳いて作る、梳毛紡績で作る糸。撚りが強く均一にかかっていることが多く、表面はなめらかで光沢があり、固さのある糸です。